親友からの電話

一年に一回くらい、大学生のとき以来8年越しの親友から連絡がある。彼とは、基本的に大学が一緒ということもでもなく、たまたま僕の当時バイトしてたビデオ屋に、洋物の「アナルファック」という過激なビデオを恥ずかしそうな表情で借りにきたことに端を発する関係だ。まあ、話せば長くなるが、そんな感じの、今思えば、彼はラーメンズのチリチリ頭のほうみたいな変態的ルックスだった。なぜ、その瞬間に僕は、声をかけようと思ったのか、今でも疑問だが(笑)新規会員登録のために預かった免許証に書かれた、シティビラ寺尾という僕の当時住んでいたアパートの名前があったので、「同じアパートじゃん!遊ぼうぜ」と気さくに声をかけてしまったのだった。その日のバイトを終え、彼の部屋を訪ねると「来ると思ったよ」と、勝ち気なコメントで僕を出迎えてくれた。彼の部屋は、部屋の中心に、木製の椅子が置いてあるだけの、荒れ果てたというか、引っ越してきたばかりの状態だった。

まあ、それ以来、何度となくお互いの部屋を往復しつつ、交遊を深めていったわけだが、彼との出会いが、僕の人生を8割ほど変えることになろうとは、当時の僕には想像だにしていなかった。当時の僕は、本を一冊も読んだことがなかったのだが、彼の「読まないと脳みそ腐るよ」という発言を聞いて、単純な僕は、彼のオススメの「人間失格」を本屋に買いに走ったのだった。今、思えば初の小説が「人間失格」なのはどうかと思うが、それからというもの、暇さえあれば、太宰治の本を読みあさるのがクセになった。今、大学院生をしてるのも、人生を達観出来るのも、彼が、その時、文章と対話することの面白さを教えてくれたお陰である。それから、クラブ通いの面白さも教えてくれたっけ。一度、京都メトロから、タクシー代節約のため、歩いて、西京極まで帰ったこともあったっけw2時間くらいかかった。一時間くらいするとアルコールが完全に飛んで、だんだん無言になっていった。

ちょっと前置きが長くなったが、その彼から電話があった。
「うさぎとジャンプから一年たったから、連絡してみようかとふと思ってさ」
現在、千葉県で働く彼、というか、今気づいたけど「彼」っていうと、ホモみたいだから名前で言うと、ゆうやは、わざわざ僕たちの企画した金沢の美術館でのイベントに来てくれたのだった。京都でも、一緒にイベントをやったことがあったが、ゆうやに誘われたイベントはいつも最高にイカしていた。

そういえば、もう一年たったのか!

いや、実は意外と、長かったから、そんなに短くは感じないが。それにしても、思い出話は尽きないし、こうやって書いてても止まらない。チャットモンチーの曲で
「思い出なんていらないなんて
突っ張ってみったって
いつだって、過去には勝てやしない
あの頃が大好きで
思い出し笑いも大好きで」

まさに、その通りで、
喩え、どんなに辛い思い出でも、何年後かには美談になり、経験になり、懐かしいあの頃の思い出になる。


ゆうやは、明確なビジョンを持って行動してるみたいに、当時からずっと見えていて、近いけど、遠い存在っていう気が常にしてたけど、電話で「おまえには絶対負けないからな」と、未だにライバル視してくれているところがとても嬉しくて、涙が止まらなかった。




あまり、好きな言葉じゃないけど、
なんでもいい。とりあえず、自分を奮起させる言葉で締めくくらなければ。

がんばろう。